晩節遍路 吉原裏同心(39) 佐伯泰英著

シリーズは、数年前に義母から本を与えられて読んだ。しかし内容はほとんど覚えていない。

シリーズを順序だてて読んでいないが、どうもこの「晩節遍路」は今年の4月に刊行された作品のようだ。
このシリーズの最も魅力的なところは、地図が紹介されているところだ。吉原から日本橋あたりまでの当時の地図と、吉原の廓内の地図が並んでいて、どこで誰がどんな話しをしたかイメージが膨らむ。江戸情緒あふれる吉原は「御免色里」という幕府公認の遊び場だった。

この回はまず、長吏頭(ちょうりがしら)浅草弾左衛門(九代目)と主人公の神守幹次郎改め、一人二役で先代の四郎兵衛を八代目として受け継いだ幹次郎が、若干15歳で大任を任された弾左衛門を訪ねるところから始まる。長吏頭は、徴税・裁判権・追放権などの強い立場でえた非人らを陰の立場で取りまとめる重たい仕事のようだ。そんな弾左衛門と四郎兵衛(幹次郎)が信頼関係を作るシーンが冒頭に置かれる。


そんな弾左衛門の仕事をかき乱す存在も現れ、幹次郎は裏からその混乱を始末しようと努める。



そんな折、羅生門河岸に住む虚無僧の涼拓が首吊りをするという事件が起きる。ところが首吊りをした涼拓は、京友禅の着物を着て、湯屋の腰掛を踏み台にして死んでいたのである。これはいったい誰の仕業なのか?


調べを進めるうちに、この京友禅が、吉原老舗の三浦屋四郎左衛門の家から持ち出されたものではないかと調べがつく。三浦屋は、先代の根郷(ねさと)が隠居して九代目に跡継ぎされているが、どうも先代の根郷が仕組んだことだと明らかになる。聞けば神守幹次郎が継いだ先代四郎兵衛が殺されたのを不安に感じ、虚無僧の涼拓に命じて隠居の身から院政を敷こうとたくらんだところ、涼拓が逆に根郷をゆすり始めたため、困った根郷は刺客を雇って涼拓を殺させたらしい。これが世間に明らかとなれば、三浦屋はのれんを下ろさねばならない。


吉原会所名主、八代目四郎兵衛を継承した神守幹次郎は、この事件の沙汰を「根郷追放」(四国遍路)とすることで葬り去ろうと決める。そこに吉原の利権を奪おうとする西郷なにがしという剣豪が現れて対決となるなど、アクションシーンが盛り込まれ、幹次郎の恐るべき剣術の技が披露されるなど、魅力的なドラマとなっている。


時は松平定信の寛政の改革が失敗して、江戸中が貧寒となる商いが動かない状態が背景にある、吉原にもその不景気が押し寄せる。この時代と現代を照らして、日本の長く先が見えないデフレ環境を思う。それでも人は楽しみを求めようとする。この矛盾もまた考えさせられる。


おなじみの人物が交錯して、幹次郎を中心に様々な思惑が揺れ動くのも面白い。江戸時代は景気が悪くてもカラッと明るかったようだ。それに比べて昨今は・・・


もう終わりにしよう。

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