教育大国シンガポール① 「教育と階層」 中野円佳著 「メディアの現場」
中野円佳さんは、東洋経済にも記事を書かれている方でジャーナリストだそうだ。
たまたま手にしたこの本は、膨大なインタビューなどによる聞き取りで構成されており、その内容も幅広い。個人的には”教育”という分野より”シンガポール”という国について学べる本だった。すごく面白かった。経済学でも出てくる、主婦の労働にたいする価値や資本についてどう評価するか、という部分にも切り込んでいると思う。先進国シンガポールでも、専業主婦が子供に貼りついて教育をする、ということなどない、という結論だ。
第Ⅰ章 教育優等生シンガポール?
そもそもシンガポールという国の歴史すらまともに知らない。
1965年マレーシアから独立したシンガポールは、もともとイギリスの東インド会社に発見され植民地化され貿易拠点となったマレーシアが華人とマレー人の対立によってシンガポールが追放されたことで独立国家となった経緯があるらしい。中興の祖リー・クァンユーが、資源のない国を人材立国にするために力を尽くしたとい言われている。
ここで「メリトクラシー」という聞きなれないキーワードが紹介される。
いわば能力主義のことなのだが、建国の魂が進みすぎて”競争をやめられない社会”が醸成されたようだ。しかもシンガポールは自助を前提とした社会で年金制度や健康保険制度のない国らしく、1980年代以降の新自由主義社会が拡散したとで、さらなる教育上の不平等が生じているのではないかと書かれている。
第Ⅱ章 もう一つの教育競争
シンガポールの大きな経済成長がプラグマティズムによるもので、幼児教育から合理性を追求するという傾向が顕著になってきたという。日本の教育も詰込み型からゆとり教育に変化しまた揺り戻すという歴史を見れば、どこの国でも時代に合わせて教育の在り方は変化する。
幼児教育の重要性は古くから指摘されているが、シンガポールの場合、子供の教育競争が激化することで、親もまた分刻みのスケジュールによる競争を余儀なくされているらしい。過激になる教育競争は子供へのストレスとなり、「階層の再生産」を生み出す。ディスタンクシオンという文化資本によれば、家庭内の言葉づかいや並べられている本などによって子供の階層も決まってゆくというものだ。
言うならば、教育や文化面におけるピケティの「20世紀の資本」を物語るもののようだ。
つまり、子供の教育だけでなく、親の競争も激化しているというのが実態らしい。
- 教育大国シンガポール~日本は何を学べるか~ (光文社新書)
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たしかに、メディアっていったい何だ?と言いたくなる。
日本のメディア、新聞も雑誌もテレビも何もかも信用できない。
大阪万博への国費投入も、朝鮮人虐殺の否定も、ジャニーズ少年レイプも、漁業や周辺諸国の同意なしの原発処理水排出も、一切批判しない日本のニュースメディアって、そこで働いている人たちはいったいどんな気持ちなのか、本当に知りたいよ。
— 町山智浩 (@TomoMachi)
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