#未来を語る人 ③ 「歩くゴミ捨て場」 「三流腐敗」

前回のおさらい。


第6章 社会契約をつくりなおす



ミノーシュ・シャフィク
教授(コロンビア大)の「21世紀の社会契約」は社会規範を根底から見直すべきことを問いているようだ。ちなみに彼女はイングランド銀行の副総裁まで上り詰めた経営者である。


まずシャフィク氏は、幸福度の要素について言及し、

1、健康

2、人間関係

3、仕事

というカテゴリーのうち、特に2と3で日本はランキングを落とし続けていると指摘する。少なくとも、男女が育休を取れないという制度はあっても、活用できないような社会(日本のこと)に未来はないと断言する。
ほかにも目を引くようなアイデアを次々と繰り出す。

1、0歳児教育から国が投資すべき

2、社会主義と資本主義を混同した社会を目指すべき

3、(高寿命化に対し)長く生きるのだから、長く働くのは当たり前で定年制度はやめるべき

とても銀行にお勤めだったとは思えない大胆な切り口だが、最も刺激的だったのは「未来の声を訊くシステム」として、

投票年齢を6歳に下げ、加齢とともに票の価値を下げるべき

という驚くべき提案だ。多くの著名人の意見の中で、シャフィク氏のこのアイデアが最も強烈なインパクトを与えてくれた。猪木武徳先生も似たようなことを書いていた。


第7章 資本主義は「脱炭素化」する


アンドリュー・マカフィー教授(MIT)の切り口は、ほかの著名人とは切り口がだいぶ違う。



資源はなくならない、という話しだ。人類は技術進歩によって少ない資源で多くの食料などを生産してきた。つまりMORE from Lessということだ。例えばレアメタルの採掘が環境に悪影響を及ぼしていることについても、レアメタルそのものが枯渇しているのではなく、採掘技術が及んでいないだけだと楽観視している。
そして炭素税を使えばクリーンテクノロジーはさらに進化するはずで、そうすればより少ない資源から大量の材料が提供されるであろうという話しだ。
議論は常に反対の意見があってバランスを確かめる。この説もまた考え方として間違いとは言えないかもしれない。


第8章 生命の網の中の資本主義


ジェイソン・W・ムーア教授は歴史家として、われわれが全く気づかない視点で世界を振り返る。

生命の網のなかの資本主義
生命の網のなかの資本主義
東洋経済新報社


「”自然”という言葉は権力を得るための戦略であり、利益を出すための手段だった」という切り口に驚かされる。家族も工場も金融センターも帝国も全て「生命の網」に含まれる。「資本新世」とは、資本主義を経済システムとして捉えてはいけないという。資本主義の繁栄は「生命の網」を無償で働かせることによって成り立っている。驚くような切り口だ。
そして、

資本主義で気候変動を解決できない

と断言する。さらに、

我々の身体が汚染物質の歩くゴミ捨て場になっている

という。ペンタゴンが世界で最も温室効果ガスを排出している、という点に着目すれば、どこに向いてももう、我々人類の行く道はない。人間が地球上で最も害悪となっているということだろうか。



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山崎雅弘氏のツイート(X)はかねてから語気が荒い印象だが的を射ているように思える。そして同じ新聞の一面記事に極めて対比的な記事が並ぶことに忸怩たる思いがする。
まさにこの国は腐っている。「三流腐敗国」だ。


藤井聡教授のこの記事も大いに関連している。



企業団体のトップが、庶民感覚を失っても仕方がないのだろうか。

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