理想郷 ロドリゴ・ソロゴイェン 監督
「理想郷」は、昨年の東京国際映画祭で東京グランプリを受賞したほか、スペインの映画祭を総なめにした作品。原題は”As bestas”(The Beasts)」。”野獣”ということ。
渋谷宮益坂の映画館で鑑賞。ここが実に素晴らしい映画館で、席もゆったり広くて居心地がいい。
あまり予備知識なくみたのだが、日本語のタイトルに引きずられることがないように注意したい映画だ。そして本編が始まると、馬を取り押さえる男たちの姿がスローモーションで映される。民族の対立。都会と田舎という二文法的な正義の衝突を描くドラマの入り口として
「ア・ラパ・ダス・ベスタス(野獣の毛刈り)」という男性的な祭りを描いたことには意味がある。クライマックスシーンの激しい鼓動がここに示されるからだ。冒頭から重要なシーンが展開する。
前作「おもかげ」の冒頭のシーンもそうだが、ワンカメでシーンをずっと取り続ける手法はまさにソロゴイェン・カットとして定着しつつある。映画の後半で母親と娘の激しいやりとりがあるが、このシーンが特にすごい。見るものの呼吸を封じ込むようなワンカット。二人の人物の間をカメラが突っ切り、逆方向から二人を写したりする。まるで自分がこの激しいやりとりを間近で見ているように錯覚する。
主人公の夫と地元の兄弟が居酒屋のカウンターで長い議論をするシーンもワンカット。この会話が映画の主題を丁寧に説明する。そして両者には決して交わることのない壁があることも明らかになる。この対立は貧困を背景とするそれぞれの正義が衝突するものだ。しかしこれは白黒決着をつけるものでもない。正義に色はないということだ。
重苦しい映画で、極めて男性的な映画なのだが、実はまるで違う。後半から別のテーマへと突き進む。そしてラストワンカットで総毛立つような感動、いやこれを感動と言えるか確信はないが、とにかくなぜか涙が溢れてとまらなくなった。この感覚を言葉で伝えるのは難しい。
ソロゴイェン監督のインタビューにおおよそのことは書いてある。
【予告編】『理想郷』2023.11.3 ROADSHOW
10月に町山智浩さんがラジオで紹介していた。
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