#ダリチョコ の映画とグルメ

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#善と悪の経済学③ #パンドラ の蓋 「税金と裏金」

第2部 無礼な思想
第8章 強欲の必要性 欲望の歴史



ここはこの著書の中でも最も興味深い内容だ。「欲望の歴史」。
例えば「パンドラの箱(ふた)」とは、パンドラという女性が労働の呪いをかけられて、それまで楽しかった労働が苦しいものになったので、あわてて蓋を閉めたというものらしい。(知らなかった)だから箱(ふた)を開けると災につながるというこになる。それは欲望(消費)のために働くことを覚えたため、その欲望が中毒となり肥大する。「多くを必要とする者は貧しい人」(ホセ・ムヒカ)の言葉通り、現代は満腹な人により多くを食べさせ、進化がいらないものをどんどん増やしてゆく飽和状態なのである。


供給し続けるか、需要を減らすかの二者択一を我々は迫られていると思う。


第9章 安息日の経済学


古代には進歩とか進化という概念はなく、進化が現代において労働のための労働、成長のための成長、そして組織のための組織へと変化してきた。私達に不足しているのは不足それ自体である。つまり不足の不足=借金は欲求不満を継承させるものなのだ。途切れのない労働で疲弊する病んだ社会を断ち切るのに「安息日」は絶対に必要で、安息日は消費ではなく、自らを癒やすべきいちにちとするべきである。


第10章 善悪軸と経済学バイブル


ここではカントからマンデヴィルまでギリシャ哲学やキリスト教などの歴史を概括し、これらが善悪の軸をどのように揺れ動いてきたかを分析している。


第11章 市場の見えざる手とホモ・エコノミクスの歴史


①権力欲 ②性欲 ③金銭欲 を並べ、ケインズのいう「アニマルスピリット」について行為と結果がもたらすまでの経過を掘り下げる。


第12章 アニマルスピリットの歴史


人間にとって自然でいること(裸でいること)は不自然


という命題に対し、人間がいかに不自然な状態を維持し続ける生き物であるかを確認する。
アダムとイブは、イブが禁断の果実を口にした途端、お互いが異性であることに気づき恥じらいが生まれた。恥ずかしいという心理は、相手を所有したいという欲求と身を守りたい(守られたい)という願望に変化し、自己が他者へ依存してゆくことへと形になってゆく。依存欲求こそが社会の基礎にある。人は常に他人の評価でしか生きることができない動物で、それが野獣化(アニマル化)するというものだ。


第13章 メタ数学
第14章 心理の探求


分別のある人は自分を世界に適応させる。

分別のない人は世界を自分に適応させようとする。

よって世界の進歩はすべて分別のない人々による。

バーナード・ショー


アイルランドの偉人をして、この社会はギリシャ哲学の「賢人主義」を忘れて分別のない愚か者に支配されている可能性をこの著書の最後で示そうとしている。


終章 ここに龍あり


現代は魂のない肉体による「ゾンビ経済学」がはびこり、人々の生活を破壊してゆく。これら過去の歴史に学べば「成長経済」がすでに破綻していることは明らかで、ゼロ成長に備えるべきと警鐘を鳴らしている。


ジョン・ミルトンの言葉として、


内なる自分を治められる人

情念や欲求や恐怖を支配する人は王にもまさる


を最後に紹介してこの500ページを超える本は終わる。


日本でこの本が発刊されたのが2015年なので、セドラチェクがこの本を書き上げたのはいまから10年近く前のことだが、それでもこの本の内容が色褪せないのは、世界の古き歴史に学ぶことを避けて成長しようとする現代批判が的外れではないことの証明なのではないだろうか。


このままでは世界は破綻する。


愚かな歴史に目を避けて、先人の教えに学ぶことも忘れる現代人を、この本は痛烈に批判しているように見える。


名著だ。


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災害で困っている大勢の方たちがいるのに、この国のトップは税金と裏金の見境がつかなくなってしまったらしい。税金の使い道が違うのではないだろうか。


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