一人二役 吉原裏同心(38) 佐伯泰英著 「いちにんにやく」
”いちにんにやく”と読むらしい。
この後の作品「晩節遍路」を先に読んでしまったが、こちらのほうが先。「晩節遍路」でいきさつがわかりにく場面は、こちらを読むとよくわかる。
このドラマでは地図がものをいう。吉原の内と外。本編は特に主人公の神守幹次郎が、吉原会所の名主を先代から四郎兵衛を引き継いて”一人二役”となって吉原改革を進める、という端緒となる時期の話である。
時は寛政五年(1793年)、老朽松平定信が解任された後の話となる。緊縮政策で多くの反発を受けながら、志半ばで解任される松平定信が、一人二役となった神守幹次郎に助成するシーンが幕開けだ。
というのは、先代の四郎兵衛は身銭で吉原の名主としての仕事を切り盛りしていたらしく、幹次郎が受け継いだとき会所にはほとんど金がない。吉原改革に金は必要だが幹次郎にも持ち合わせがない。そんな折に幹次郎を信頼する松平定信が、十万両の金子(きんす)を貸し与える約束をする。そしてその小判をどのように運び、どこに隠すかというのが本編の前半のクライマックスだ。船で運ぶのに怪しまれながら、千両箱を漬物石と偽ってなんとか運び出すシーンは緊張が走る。
北町同心の村崎季光は金で動く御仁で、幹次郎の動きに敏感だ。そんな村崎の目を誤魔化して千両箱を運び出す。
吉原のどぶさらいなどで人足の手を借りるが、それに横やりを入れる勢力がふたたびどぶ板を汚してまわる。心を痛めた幹次郎が、その周辺に桜の木を植えて再発防止に務めるというシーンもある。そして幹次郎にとって、この廓界隈にさらなる土地を取得して、京の花街と吉原の御免色里の交流の場を設けたいが、先立つものがない。それを松平定信が助成したという背景だ。となると次は用立てする土地がいる。
その土地にふさわしい場所を見繕うが、そこの主夫婦ともう一人の三人が殺される事件が起きる。吉原の外で営まれていた壱楽楼という妓楼をめぐり、裏同心の澄乃らの助けを得て、幹次郎はこの事件の真相を解き明かす。壱楽楼に勤めていたおなみという少女とおなみに心を寄せるが殺された朋吉との思いなどが交錯し、幹次郎がおなみを守り、殺しに関わった人物らと吉原の天女池で対決するシーンが最後のクライマックスとなっている。
江戸の情緒と心遣いに人情話が重なって、ほろりとくる場面もある。読みごたえのある話であった。
いちにんにやくのモロボシダンもジレンマと戦うときが数々あったらしい。この第26話「超兵器R1号」は、ものすごく哲学的、コペルニクス的な議論を展開している。そう思うとギエロン星人がまるで、宮崎駿監督の最新作に出てくるアオサギにも似ているように見えるのは気のせいだろうか。
8月のこの時期は核爆弾について考えないではいられないが、これはウルトラセブンで、核抑止論の暴走への怒りを表わすダン。
「人間のほうが破壊者・侵略者なのだ」という初期ウルトラシリーズがもつテーマの典型作のひとつだと思うが、脚本は金城でも佐々木でもなく、若槻文三。 pic.twitter.com/qVWrNOvRKk
— 山口 宏 (@YGrocker)
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