#ダリチョコ の映画とグルメ

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#ハンチバック #市川沙央著 第169回 #芥川賞

8月のこと
ミオチュプラー・ミオパチーと聞いてなんのことかわかる方は少ないかもしれない。
今期の芥川賞はまさに受賞にふさわしい斬新でしられざる障害者の実情を示す傑作だった。驚いた。

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主人公の井沢釈華は、先天性の筋力低下疾患をもつ寝たきりの女性。社会的弱者である彼女は親からの莫大な遺産を受け取り、ネットで「こたつ記事(取材せずにつぎはぎで書く記事)」や、風俗や出会い系サイトなどの宣伝文を作って報酬を受け取る。のどに装着された器具によって言葉を発することが不自由で、「トップガン マーヴェリック」でヴァル・キルマーが演じたアイスマンのような感じであろうか。


このドラマを読んでよぎるのは、映画「37セカンド」や「こんな夜更けにバナナかよ」、あるいは小説だと(ちょっと違うかもしれないが)村上龍の「心はあなたのもとに」などがよぎる。いずれも社会的弱者という立場だ。


しかしこの小説は、これまで描かれてきたドラマとは決定的に異なる。平野啓一郎氏の言葉を借りると「障害者の立場から社会の欺瞞を解体して再構成を促すような挑戦」とか、堀江敏幸氏の「加速度のある言葉選び。紙の本の暴力性」という言葉がしっくりくる。反面、吉田修一氏の「とにかく小説が強い。微塵の弱さもない。」というコメントや松浦寿輝氏の「差別と正義を楯に、読み手に踏み絵を課す恫喝的な書きっぷり」と称するのも当たっていると思う。あらゆる情報を双極的にとらえる印象の小説だ。


市川沙央さん本人のインタビューにも印象的な言葉がある。「西洋由来の理性主義は、発信することを人間の基本としているが、それは人間の定義としては狭すぎる。」というメッセージは、この小説の中に真意が見事に反映されていて得心がいく。


5つの健常性(※)を満たすことを要求する読書文化のマチズモ(健常者優位主義)を憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知な傲慢さを憎んでいた。

われわれが当りまえのように手にする本。それを読む行為すらままならない方が世の中にはいて、ある種の優位性でそうしたマイノリティを葬り去ろうとする。いや、単なるマイノリティへの同情とか哀れみではなく、もっと普遍的で深淵なものがこの小説に散りばめられている。


映画「バービー」もそうだ。ある特定の造形を女性のシンボルのように崇める社会。そして足立正生監督の「Revolution+1」にも似た強い反逆性。いま目の前にある当たり前が極めて特権的なことであることを我々は忘れてしまう。


※5つの健常性とは「見える」「本を持てる」「ページをめくれる」「読書姿勢を保てる」「本屋に行ける」のこと。



下の方に過去に読んだ芥川賞作品を並べてみた。くどいけど。

(=^・^=)

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