#新しい戦前 ① #内田樹 / #白井聡 「この国の”いま”を読み解く」


タモリさんの「新しい戦前」発言が波紋をよび、めぐりめぐってついに著書となった。お二人は「戦前」ではなく、「戦中」だとも言っている。それほど危機的なこの国の情勢を、無自覚に過ごしていいのだろうか。白井聡さんははしがきで「日本は最悪の状態」だと断じている。最悪に至るまでの歴史なども含めて、学びのある本だ。読み応え十分。



第1章 「戦争できる国」になるということ


内田樹さんは、この無反応は「自分たちは主権者ではない」という無力感の現れで、全てアメリカのシナリオ通りにことが進んでいる、という。
過去で言えば、アメリカと蜜月を演出した中曽根、小泉、安倍。


・台湾有事を先送りする米中


中国とアメリカの思惑が交錯する台湾有事だが、お二人の対談によれば、急激に台湾を草刈り場とするような対立には向かわないだろうということだ。しかし、重要なのはアメリカが持つシナリオに「リトリート(退却)プラン」があって、いざ有事となったとき日本のハシゴをはずすこともあり得るという話しだ。さんざん、日本に増税による軍事費を上げさせておいて、いざとなると沖縄から撤退して、グアムまで退却することを考えている。


いずれにしても、日本はアメリカの軍産複合体の利権のためにいいように使われているだけで、最後には安保もなにも約束を反故にして日本を切り捨てる用意があるらしい。


日本がこれほどまでにアメリカを妄信するのは、中国寄りの政策に日本がシフトしそうになると、スキャンダルを持ち出して押しつぶし、属国化することを徹底しているからだそうだ。ひとつの例が田中角栄。ロッキード事件により失脚はアメリカ政府のリークによるもので、角栄が日中国交回復を独断専行したことへの報復措置だとされている。ちなみに習近平と人脈がある小沢一郎が政治の第一線からはじかれたのも、これらの理由によるものだと推測できる。


第2章 凋落する覇権国家


ノルドストリーム」が破壊された事件は様々な憶測を呼んでいる。

ロシアとドイツをつなぐパイプラインの破壊は、間違いなくアメリカが仕掛けたことで、独露両国の分断と、EUをリードするドイツへのけん制ではないかという。逆にこれまでドイツは頑なにアメリカの言いなりにならない(ここが日本と違うところ)という姿勢を維持しているという。


このような事態に、アメリカの凋落ぶりを示すものではあるが、それでもアメリカの復元力(レジリエンス)は強いという。例えばベトナム戦争のさなかに「タクシー・ドライバー」や「地獄の黙示録」が上映されて、自国批判を許す。これは日本にない仕組み。アメリカは最高と最悪のシナリオを持ち、情勢に応じて大胆な判断を下し、誤りがあれば国全体でそれをひっくり返して作り直す復元力があり、対して日本には机上論だけが残像として残り「負けるわけがない」という根拠のない考えが支配的となる。「失敗の本質」そのものだで、いまの日本政府がアメリカを妄信することとも大いに重なる。



エマニュエル・トッドがさかんに唱える「アメリカの凋落」もさることながら凋落するアメリカをまるで信者のように崇めるこの国も問題だ。



ほかにも食料自給率の危険な状況なども、この章で紹介されている。
(=^・^=)


新しい戦前 この国の“いま”を読み解く (朝日新書)
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朝日新聞出版
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つづく・・・


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