#新しい戦前 ③ 幼稚なこの国はどこへ? 「ナワリヌイはどこへ?」
前回のつづき・・・
第5章 日本社会の何が幼稚か
ほかの国の方とお話すると、どうもこの国が幼稚に見えてしまう。それはこの国の社会が「幼稚のままでいてほしい」と仕向けているからだそうだ。例えば「学ぶ」という点においても、暗記することと考えることが正しく整理されていない。「学力」とは「学ぶ(あるいは学ぼうとする)力」であり、「生きる力」ともいうべきもので、他人と点数を比べるためのものではない。
学びに”考える”という力が備わっていないから、議論にもならない。言われたことは覚えるが、言われなければ考えもしない。議論するということは相手の考えを黙って聴いて、自らの判断を保留したうえで応じるものだという。いまはそれができない。相手の考えを真っ向から否定して押しつぶすのが議論だと言わんばかりだ。ひろゆき氏などはその典型。維新の姿勢も同じだ。
余談だが、白井氏が「伊東光晴先生の授業は80%が漫談で、円熟した漫談口調で当時の経済学者を撫で斬りにした。」という話しを聞いて、放送大学で伊東先生の授業をお聞きしたときを思い出した。
続けて、内田氏は「能力主義や成果主義が言われだしたのは、経済成長が止まってからのことだ。」そうだ。つまりデフレで行き場を失いと内部の利益を食いつぶす。成長しているときは外側へ向かう。
第6章 「暴力」の根底にあるもの
ここはすごく重要なことを言っている。承認欲求と嫉妬について説明を重ねたうえで、「目標を達成したら承認してあげる。」と誘導することは、達成できなかったら承認されないというストレスを与え続けていることと同じだという。「無条件の承認」が失われて、子どもたちはお互いが無視しあうことがマナーになってきた。
この議論の最後に、教師に対する期待として「歓待と承認と祝福」が彼らの仕事だと結んでいる。
第7章 この国はどこへ向かうのか
こうした世界と日本という国を照らして、最後にお二人はこの国の行き先について話し合う。
ひとつは全てを民営化することで蝕まれた歴史を繰り返すのか?という問題。最近、郵便がまともに届かない、という事態が仕事でも生じているが、小泉政権が強引に進めた郵政民営化は失敗だったと思う。民営化は生活の基盤(インフラ)を破壊する行為で、公共財をエサに私腹を肥やす政治家のためのメソッドだと。ぼんやりしていると国民は政治家の食い物にんされ続けるだけだ。
メディアの衰退なども含め、もはや日本は政治家の思うがままに飼いならされてしまった。
こうした傾向に歯止めがかからないと、さらなる衰退が待ち受けているということではなかろうか。
- 新しい戦前 この国の“いま”を読み解く (朝日新書)
- 朝日新聞出版
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新世界秩序と日本の未来 問題提起から - dalichoko
内田樹さんと白井聡さんはさらにこのような本を出されたらしい。
- 属国民主主義論―この支配からいつ卒業できるのか
- 東洋経済新報社
- Digital Ebook Purchas
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複数の報道で収監されているナワリヌイ氏の行方がわからなくなっていることが報道されている。